少し前に思いついたショートショート

『シャーレの上のアリス』

僕「何ですか!?この小さくて動いているのは!?」

僕は、驚きを隠せず、博士にこう質問した。

博士「人工生物じゃ。ほれ話しかけてみなさい。ちゃんと応答するからのぅ。」

僕「こんにちは。はじめまして!僕は葉月優と申します。よろしくお願いいたします。」

人工生物「こんにちは~。ご丁寧にどうもです。私はアリスって呼ばれてるわ。よろしくね」

アリスと名乗るシャーレの上にある謎の生き物。

その生き物から発せられる声はとても柔らかで穏やかな女性を彷彿させる。

しかし、それは人の形をしていなかった。

それからというものの、博士の元に通う度に、僕はアリスと他愛もない話をした。

いつからか、博士の研究所に行くのは、研究目的よりもアリスと会うためという目的にすり替わっていった。

生まれてこの方25年間女性にモテなかったその男はそのシャーレ上の生き物に恋をしてしまったのである。

ある日、博士はこう言った。

「アリスは実質的には人間なんじゃよ、科学技術が進歩すれば、人間になったアリスと出会えるじゃろうな」

名高い科学者である博士にそう言われた僕は、それを妄信してしまった。

だから僕は頑張った。

ただのフリーター同然のひよっこ研究員からちゃんとしたバイオ関係の研究者になった。

そうこうするうちに、15年の歳月が経過した。

アリスの寿命は、実際の人間より短く、20年も生きられなかった。

最初に出会ったときに5歳であったので、死は目前に近づいていた。

僕は焦っていた。

必死に延命する装置を開発したり、新薬で寿命を延ばそうとしたが、その努力も虚しく効果が薄かった。

当然アリスを人間に戻す研究にも邁進していた。

しかし、僕はそのような研究に没頭しすぎて、いつからかささやかな幸せであったはずのアリスとの会話を楽しむ余裕もなくなっていった。

アリスと僕との距離は遠くなる一方であった。

徒に時が過ぎ、ついに最期の時が来てしまった。

アリスは言う

「最期まで貴方に言えなかったことがあります。実は私は人間ではありません。

それでも貴方は私を愛してくれますか?」

答えは決まっていた。

そして、激しく後悔した。

幸せは一番近いところにあることに気づいたときにはもう、その幸せはなくなってしまっていた。

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コメント

  1. より:

    こんばんは!
    グルでお世話になりました。みです。

    最後のアリスの、実はってセリフは、主人公に気を使って黙っていて
    主人公は最初からそれを知っていたと思うと、アリスが健気で心が動きますね。
    この話とても面白かったです。

    • urujiro より:

      >みさん

      こんばんは~
      どうもです。グルでもお世話になっております。
      コメントありがとうございます!励みになります。
      しばらくブログ放置しておりましたので遅くなって申し訳ないです。。。
      このストーリーは夢で見た話しをほぼそのまま書いた感じなんですよね、少し変えはしましたがw
      また何か思いついたら書こうと思います!